鳩尾にも限界がある
仕事納めで帰るエレベーターの中、接点は特にない職場の人が、同系列の職員の話をしていた。
エレベーターの中での小さな小さな会話だったから、確かかどうかはわからないが、どうやら悲しい出来事が起きたらしい。
最後の最後に重たいものを持ってしまったと思い帰路に着く。
山道を走りながら、何故か今まで嫌だったことやむかついたことなんかがとてもよく思い出されて、今更ながらむかついていた。
私が引きこもりになったのは、きっと子供の頃から溜めていたものが、もう溜められなくなって溢れ出たからなのだと思う。
溢れ出た何かが私を無気力にして、どうやって命を終わらせようかと考えさせた。
昨日、アマプラで初めて竜とそばかすの姫を見た。
なんだ、サマーウォーズじゃないかと思った。
だから今日はサマーウォーズを見た。
サマーウォーズをやっぱり好きだなぁと見ていた。
鳩尾に力が入って横隔膜を引っ張り硬くなった影響は、反り腰にくるらしい。
もともと腰痛持ちではあったが小康状態だったのがここ1ヶ月ほどでまたぶり返している。
整体で言われて鳩尾の力を抜く練習をしていた。
サマーウォーズを見ながらも息を吐いて力を抜こうとした。
でも上手くできなくて、そのうち鳩尾が引き攣って痛くて苦しくなった。
劇中では栄ばあちゃんがにっこり笑って、
「あんたならできる」と名言を言った。
その時だ。
涙が溢れた。
励まされたのではない。
理解した。
私は怖くて悲しくて嫌で嫌で、悔しくて辛くて聞きたくなくて嫌で嫌で嫌だったのだ。
それがぜーんぶ鳩尾に入って硬くなって苦しいのだと、そう理解したら少し楽になった。
鳩尾を柔らかくする方法を調べた時、負の感情が鳩尾を硬くするという本当か嘘かわからない記事を見た。
でも今日ふと、私のこれはそうだったのだと思った。
とてもしっくりそう思った。
子供の頃から、私は「言わない」ことを選択した。
黙っていれば時間が過ぎるのが早いから。
黙っていればなんとかその場が収まるから。
つぎはぎの現実はどこかで綻ぶし、無理に押さえつけた負の感情は私の体に影響する。
溢れた感情は、本当は口に出して耳で聞いてさよならする方がいい。
まだ口に出せていないから、時間をとって見つめようと思う。
体を緩ませる糸口が見つかったのだから。